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「フラジール~さよなら月の廃墟~」クリアしました。 [雑記]

 ジャンルは「廃墟探索RPG」。一人ぼっちの少年が、リモコンを懐中電灯にして、廃墟の駅や遊園地を探索しながら一人の少女を捜して進んでいくRPGです。

 クリア時間は約28時間、Lv35でした。
 自分はじっくりゆっくり隅々まで歩いて進んだとの、バトルを回避せずに進んだので、凄く時間がかかってると思います。雰囲気そっちのけで突き進めば、たぶん半分以下の時間でもクリア可能だと思います。

 RPGとなっていますが、むしろアドベンチャーです。だんだん強い武器が手に入ったり体力が上がったりはしますが、バトルはタイミングよく攻撃を当てて倒す形なので、壊れた弱い武器のままでも倒せますし、「かくれんぼ」や「鬼ごっこ」といったアドベンチャーゲームがクリア必須要素になってます。
 ゼルダもRPGに分類されることがあるので、RPGではないとまでは言えないですが、オーソドックスなRPGだと思ってプレイすると思いっきり肩すかしを食うのでご注意を。
 
 買う前に自分がこの作品に持っていたイメージは、
 ・おそらく「クーロンズゲート」のような楽しみ方をする作品
 ・キャラデザが竹宮恵子(の「地球へ・・・」のアニメ版)を思い出す

 ・・・の2点くらいでした。結果として、それは色んな意味で正解だったと思います。


 「クーロンズゲート」にどんな印象を持っているかは人それぞれでしょうが、自分の場合は、

「描き出された独特の世界に浸って浸って浸ることがメインで、ゲーム部分は手抜きか!ってくらいシンプルなゲーム。ゲーマー的には「映像だけに拘ったク●ゲー」と言われても仕方ないが、自分はこの独特の雰囲気に浸るのが好きなので、今でも好きなゲームの一つ。」

 というものでした。
 フラジールも、良かれ悪しかれそんな感じ・・・というか、まさにそのまんまの「浸りメイン」のゲームです。
 作品の感想も、上に書いた内容をそのまま使い回していい感じ。(^^;

 だから、フラジールが「戦闘が微妙」とか批判されてる点は自分ももっともだと思いますが、自分は「本格的なやりこみRPGだったら雰囲気やテンポが壊れて嫌だなー」ぐらいに思ってたので、ゲーム部分のシンプルさはかえって良かったです。
 生活の匂いがして不気味で綺麗に描き込まれたノスタルジックな廃墟を、恐る恐る懐中電灯を動かしながら、ゆっくりじっくり眺めながら歩いて、幻想的な美しい星月夜の空を見上げるのは、本当に楽しかったです。
 ガイガーカウンターみたいなリモコンスピーカーの使い方もとても良かったです。

 とはいえ、自分にとっても物足りない部分は結構あります。

・カメラの動き方がちょっと急すぎる。
 視界が変わる時のカメラの動きが速いので、最初はちょっと目眩がしそうになります。
 探索の不安さに合わせて懐中電灯をゆっくり動かせば視界もゆっくり動くので問題ないですが、そうなると今度はBボタンでのズームイン・アウトがサクッと動きすぎるのに違和感を感じたり。
 ズームインはともかく、見終わってホッと緊張が緩むズームアウトの時は、少しゆっくり動いてもらえると良かったです。

・中盤以降は単調なダンジョンを単調に進んでいくだけになってしまっている。
 駅や商店街といった生活感の残ったフィールドは雰囲気も美しさも申し分ないのですが、中盤以降は単調な地下道が続くのは手抜き感が・・・。せめてダムと研究所の間は屋外の廃村みたいな所を歩きたかったなぁ。

・ボスバトルが最後まで単純すぎる。
 自分はこの作品に複雑なバトルは求めませんが、さすがに終盤のボスバトルの内容がほとんど同じなのは、ちょっと単純すぎて締まりが無い感じ。
 別に三段階変化しろとは言いませんがw、「相手の変化に合わせて途中で武器を取り替える必要がある」くらいのラストバトルは用意して欲しかったです。

・同じフィールドに再度行く内容が、単なる「お遣いイベント」でしかない。
 「「○○を持ってきてくれ」と頼まれると、相棒が「それならさっきの××にあるよ」即座に教えてくれる」という身も蓋もない流れでは、露骨に「やらされ感」と「フィールド使い回し感」を感じて萎えてしまいます。
 同じ場所に戻るにしても、最初と2回目では同行者の有無が違っていて、「2度目に1人で来たら、2人で来た時を思い出して孤独を痛感する」とか「2人で来ると1人の時には気付かなかった素敵なものに気付く」といった描写があれば全然違ったと思うのですが。

・「孤独」を感じさせる描写が物足りない。
 セトが各キャラとの出会いと別れの合間に「一人旅」でいる期間が短く、一人旅の間に孤独を実感するような描写も少ないので、せっかくの「孤独と出会い」のコントラストが弱いと感じました。
 プレーヤーはどうしても探索の「不安」や「好奇心」が先に立つので、何らかのキッカケがないと、その先の「孤独」まではなかなか想いを馳せる余裕が無いと思います。
 特に終盤はサイが隣にずーっといてくれるので 視界の邪魔 孤独感が薄くて、レンをひたすら追うセトの想いの強さにもうひとつ説得力がなかった感じです。
 サイは研究所の入り口までは「声だけの存在」で引っ張った方が良かったと思うけどな。

・拾った物に宿る「記憶」の内容が鬱一色で単調な気が・・・。
 死者の残したものなので鬱な内容なのは当たり前ですが、ゲーム要素も無いし、物語の真相のヒントにもなってないので、終盤は単調な印象になって読み飛ばしてしまいました。
 単調ゆえに、だんだん切なさが押しつけがましく感じるというか、「自分の傷をいつまでも嘗めて自己満足してる」ような”イタさ”に感じてしまいました。

 他の方の感想では、この他に「初期の懐中電灯が暗すぎ」「文字が見づらい」という指摘を見かけましたが、自分はHDTVのD端子接続でプレイしている限りでは、まったくそんな印象はありませんでした。

 
○キャラクターについて

 長くなりましたが、最後に一部のキャラについての感想。
 声優さんがみなさん適役で、どのキャラもいい味をだしていました。キャスティングって大事ですよねー。

 世間の男性陣にはP.Fの人気が高いみたいですが、(分かる気がするw)
 自分が女だからなのか、自分には「よくある無機質のガールフレンド」以上の印象はなかったです。
 シナリオが感情表現をさせ過ぎてて、「コンピュータの声真似をしてる生身の女の子」そのままな感じだったのが勿体ない感じ。
 彼女の退場はクロウとの最初の別れの後まで引っ張って、そして別れた後、もう一度商店街に戻ったセトが彼女を思い出すようなシーンがあったらよかったのに、と思います。

 自分はクロウのエピソードが一番好きでした。追いかけっこが大変でムカツキましたがw
 園崎さんは、アーシェの時は王女の割に時々はすっぱな口調になるのがちょっと気になりましたが、今回はハマリ役って感じですね。
 彼については、キスシーンだけを部分的に取り上げてネタにしてる記事を見かけますし、自分も最初は「竹宮恵子を連想させたのは伊達ではなかったか・・・」と思ったのですが、(^^;
 実際にプレイすると「そう単純なものではないらしい」事がすぐ分かるようになってるので、脊髄反射で誤解しないで欲しいな、と思います。

 以下は、真相についての自分の感想。
 (超ネタバレ&深読みなので反転します。)

 クロウの正体は「男の子の人格を取り込んだ女性型アンドロイド」だったわけなので、キスシーンは少年同士ではないとも言えるし、恋愛は人格でするから少年同士だったとも言える。
 でも、男の子の人格を持つ前から「私」という自意識はあって、あの絵本の海賊がキスするタイプとは思えない点から考えると、キスは本来の女性的な人格の反映とも考えられる。そう考えると、クロウはあくまでも女性としてセトに恋していたのかもしれない。
 ・・・と、自分は思うのですが、どうでしょう?

 さらに考えると、
 人工の男性人格の下に別の女性人格が隠れているとすれば、本来の人格の持つ「男性への恋愛感情」は表の男性人格と矛盾するため、クロウのAIはそのまま形で感情を処理することが出来ない。
 だから彼(彼女)の好意は、無意識のうちに、セトへの意地悪と嘲笑という形に「誤変換処理」されて現れる。
 好きであればあるほど、彼としての人格は意地悪でしかそれを表現できない。
 人工の思考回路の単純さゆえ、「一緒にいたい」というただ一つの思いは、同じ意地悪と嘲笑を「何度も繰返す」という形で表現されてしまう。
 ・・・ということだったりして。(単なるシナリオの単純さかもしれないけどw)

 こう考えると、クロウのエピソードってすごく切なくて、自分は好きですね~。
 描き方がムービーやセリフ頼みではなく間接的なので、「性とは何か」「人格とは何か」みたいな幅広いところまで考えられる所が自分は好きです。

 ・・・でも、「最初のともだちはP.Fじゃないのか?」ということは、声を大にして言いたいw


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